コンパスコラム

【–よく使う言葉、じつは–】『そうだったのか!』第2回 とんでもございません

礼を言われたり、褒められたりしたとき、あなたも口にしていませんか?
「とんでもございません」
と、へりくだりながら遠慮がちに。
これは、とんでもない誤りなのです。


そもそも「ございません」は、{「ござる」+「ます」+「ぬ」}から成る語です。「ご
ざる」は、「ある」の丁寧語です。そこで、冒頭の言い方は
「とんでもありません」を丁寧に表現しているつもりなのでしょう。
では、そもそも「とんでも」が「ある」のか?と 考えてみてください。
この言い方は、「とんでも」が、あったり、なかったりすることではありません。言い換
えれば、「とんでも」の存在を述べているのではありません。
もともと「とんでも」は,単語をなしていないのです。
「とんでもない」で一語(形容詞)なのです。
いくら丁寧に言っても、ひとつの単語を真ん中でちょん切ってはいけません。


では、冒頭の言葉はどのように言えばよいのでしょうか。正しくは、
「とんでもないことでございます。」
ついでに、これとよく似た単語を挙げておきましょう。
例:–もったいない やるせない やりきれない やるかたない
わりない せわしない はしたない
(やや文語的ながら) 由ない やんごとない
どうですか。「ない」を「ある」に替えて使えますか?
もちろん、「ない」を「ございません」には できませんね。
「ない」が独立した単語(形容詞)(連語をふくむ)か、それとも、
「–ない」という語尾をもつ形容詞かを見分けて使いましょう。


言葉は、感性と思考の表れと申します。 [ つづく ]